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旅の後半はイタリア北部のドロミテ山塊でのトレッキング。3日間のウィーン観光の後、果たして僕たちは山に登れたのか。

続きをどうぞ。

 

200986 ドロミテ1日目。

 

前日午後8時40分にウィーン西駅を出発した寝台列車は、なんと到着予定時刻の7時半に3時間も遅れて午前10時20分にコネリアーノについた。
おぼろげながら午前2時くらいからどこかの駅でだいぶ長い間停車していた記憶がある。たぶんどこかで事故があったか、もしくは車両にトラブルがあったんだろうと思う。
隣のコンパートメントの人が乗員に「エアコンがないと寝れない」と文句を言っていて、乗員が水を飲めと勧めていたのを覚えている。
その後、コネリアーノに着くまでにこのやり取りを何回か夢でみた。
僕関係ないのに。


駅に迎えに来てくれていたお父さんの車でサン・マルティーノ村の実家へ戻って昼食を食べた。料理名は忘れてしまったけどチーズのいっぱい入ったグラタンみたいなのがおいしかった。
お母さんが説明によると、5人前のその料理にはこぶし大のモッツァレラチーズ4個と、スライスされたパルメザンチーズがたくさん入っていたらしい。
さらに食べる際にパルメザンチーズを削って上に乗せていた。
3か月分くらいのチーズを食べた気がする。


昼食の後素早くトレッキング用の荷物を作った。
最初は着替え諸々を小さめのザックに入れて持っていくつもりだったけれど、泊まる予定の山小屋にはベッドはあるけれどシーツがないらしく、シュラフも持っていくことに。
その時点でザックの容量オーバーなので大きいほうのバックパックに変更した。最終的に水や少しの食料や一眼レフ(これが重たい)を入れたら、たぶん10kg近くになってしまった。

小ネタ。
僕が旅に持っていくバックパックにはいつもシュラフが入っている。普通のホステルでもシーツが有料だったりベッド自体があまり綺麗じゃないところもあるからけっこう役に立つのだ。
ちなみに僕は前にいたホームステイ先のホストファザー、ニックの助言に従ってでっかいのを買った。
総容量90L。本当にでかい。モノが入らなくて困ったことがない。


 

再びお父さんの運転で約1時間、ベネト州の北部、フェルトレという街へ。


 

これは1969年発行のドロミテについて書かれた本で、フランシスコのお父さんが約40年前に買ったものだ。
今回はこの本に書かれているルートに沿って歩く。

 

僕たちのスタート地点はこの地図左下、インフォメーションや教会のマークがあるところ。スタート地点の標高はよくわからない。400~500mだろうか。
現在午後4時で日没までに地図上右上、標高1993mのダル・ピアッツ (Rifugio Dal Piaz) という山小屋 (正確には"rifugio"なので避難小屋) に辿り着かないといけない。
平面上だと本当に近く見える。

この教会から僕たちは勇んで歩きだした。

 

天気は上々だ。

 

歩き出してわりとすぐに僕がへばりだした。低地は岩がごろごろしていて傾斜もかなりきつい。
4歳から山に来ているというフランシスコにとっては何でもないらしい。
マンチェスター帰ったらランニングしようって思った。

 

この801番ルートに沿って行けば山小屋に着ける。

 

ドロミテの山々はドロマイトという鉱石を含むカルシウム質の岩石でできているいるために山肌が白い。

 

これは登山道を示すサイン。オーストリアの国旗に見える。
汗が噴き出す中そんなことしか思いつかない。

 

今が何時か確認する力もないほどへばって休憩していると、偶然下って来た他のグループに「そこから山小屋見えるよ」と言われた。
……どれだ?

 

……あった。
「あんな2mmくらいのところに2人も泊まれるの?」なんて精一杯冗談を言ってみたけれどどうにもらならい。
フランシスコもさすがに言葉を失っていた。
 

唯一の救いは徐々に道が平坦になってきたこと。しかし高度が稼げない。
それでも僕にとっては50cmの岩を何百個も登るよりも勾配1%の道を何キロも歩いた方が全然楽だ。



登山中の癒しはこの素晴らしい景色。



平坦な道を歩いていたらかなり回復した。少しスピードアップ。



WRCでこんなコースありそうだ。


そして峠にたどり着いた。反対側の景色。
ひとまず休憩。エネルギー補給のためにウィーンのマーケットで買っておいたドライフルーツやナッツを食べた。ナッツ類がおもいっきり湿気っていた。
フランシスコがマーケットのおばちゃん宛ての文句を言っていたけれど日本語訳は載せないことにする。



なんとなく記念写真を撮っておいた。「登頂しました」みたいな写真になった。まだ全然中盤だけど。
ところでなんでフランシスコは前みたいにトレッキングブーツを履いていないのか。(
click)
「だって重いもんアレ」と言うのが理由らしい。明快である。



休憩のあとラストスパートをかけた。
どうでもいいけど崖が怖い。風化していて、まるで昨日降ってきたような岩が登山道にごろごろしていた。



あんな小さかった山小屋がそして今、目の前に。




午後7時45分頃、僕たちは標高1993m、ダル・ピアッツに日没前に無事到着した。
さすがに標高1900mにもなると寒い。右端で見切れているけど 、
暖炉に火が入っている。
8月に暖炉。暖炉があってすら肌寒いけれど。


もう食事のあとは窓の外を見るくらいの力しか無い。この後すぐにベッドへ向かった。


2009年8月6日 ドロミテ2日目。



目を閉じて、次に開けた瞬間にはもう朝。ものすごく深い眠りから覚めた感覚がした。
たぶん夜に地震や噴火があっても起きなかったと思う。それはともかく体の疲れも取れたし、脚も全く問題なさそうだ。

フランシスコが朝食でハチミツとチーズを大量に摂っとけ (エネルギーになるから) というのでパンと一緒にこれでもかと食べた。今考えるとあのチーズだらけの昨日の昼食はお母さんが登山を考慮して作ってくれたのかもしれない。
朝食後、テーブルの隣に置いてあったクラブ・アルピノ・イタリアーノの冊子にフランシスコと2人で記帳しておいた。日本語で書け書け言うのでそうしたけれど、久し振りに漢字で名前を書いたら情けない字になった。



しばらくして二人でマップを見ながらこの先のルートを探していると、とんでもないことが発覚した。
なんとお父さんが40年前近く前に買ったあの本に記載されているルートが、現在のマップにはなかったのだ。
土砂崩れや地滑りなどにより地形が変わって安全性を保証できなくなったために閉鎖されたのだろうとのこと。
行き先を見失った僕たちは、あえなくルート変更を余儀なくされた。

山小屋のスタッフと話し合った結果、801番ルート沿いに歩いて、途中から817番というルートに入り
標高2335mのパヴィオネ山 (M. Pavione) へ登頂し昨日と同ルートで下山することに。


たしか午前10時ごろだったと思うけど、山小屋を後にして801番ルートにそって歩きだした。天気はそこそこ。荷物を背負って歩いているとちょうど涼しいくらい。



この季節、いろいろな種類の草花が生い茂っている。


817番ルートこっち。



数百m歩いたら道がなくなってしまった。地滑りで埋まってしまっている。
けど既にその上に足跡があったので僕達も構わず乗り越えて進んだ。



右手にある盆地では牛の放牧がされている。牛の首にはベルがついていて首を動かすたびにそれが鳴る。
何十頭もいるから絶え間なく音がする。やつらはいつだって縦ノリだ。



歩いているといきなりいるから焦る。
このほかにもマーモセットをみかけた。あわてて写真を撮ったらおもいっきりピンがずれたので載せない。


山小屋を出てから数十分、何かがおかしい。
いつまでたっても817番ルートへの分岐点が見つからない。それどころか、僕が見つけたサインには801とだけ書いてあった。



これは山小屋の前にあったルートの看板。801番と817番が途中まで同じ道であることを示している。
方角的には進路の左手に分岐するルートがあるはずなんだけど。



これは山小屋を出た直後に撮った写真だ。
ひょっとしたらこの雲だか霧だかのせいで分岐点を見逃したのかもしれない。



偶然座り込んで休憩していた人にマップを見せて聞いてみた。しかしその人もおなじ境遇だった。817番を見失ったらしい。



この頃僕たちは大体このナイフの刃の先端あたりにいたと思う。(丸で囲んであるのが山小屋)
地図で見る限り、このままうす紫色の801番ルートに沿って行き、途中で紺色の810番ルートに乗り替えたらパヴィオネ山の山頂付近までいけそうだ。
もしだめでもその先816番、812番を通って盆地周辺を行けば山小屋には戻ってこられる。
僕たちは810番を通ってパヴィオネ山山頂を目指すことにした。

この後勾配がきつくなって写真を撮る余裕がなかった。
それでもなんとか尾根に出た。おそらく、上の地図上に書かれている "LE VETTE" の "L" の真下の紺色の線上だ。



ふと見上げると雲が上空で渦巻いていた。
上昇気流にのって上がってきた雲が尾根にぶち当って跳ね返っている。写真上だと、左右で天気がまるで違う。



そしてこれが尾根からみた反対側の景色。白いのは雪だ。ここで問題再び発生。
明らかにこの先道らしい道がない
そしてここに来るまでに810番と書かれたサインを目にしていない。でも道は間違えようがない。801番と分岐した後一本しかないんだから。



引き返すのもアレなので僕たちは構わず進んだ。



今回一番気に入った写真。
地図によるとあの丘を越えたらパヴィオネ山が見えるはずだ。



しかし丘を越えた後待ち受けていたのはこの景色。
中央がパヴィオネ山だ。だけどそれに行くための道が風化して崩れた岩石に埋もれている。さすがにこれ以上先には行けない。デッドエンド。
その場に座り込んだ。



でもそこはまるで楽園。周りには誰もいない。
そういえばこの時
一眼のほうで写真を撮ろうとしたらなぜだかシャッターが落ちなくなるというトラブルが発生した。いい景色なのに写真が撮れなかったという。



鹿?



トムソンガゼル (んなわけない) みたいなのがわらわらと出てきた。
後で調べてみたらどうやらアルプスアイベックスという動物らしい。(click
あいつらヤギなのか。



先に進むのはあきらめて動物の写真を撮りまくる。
このあとフランシスコが荷物をおいたままアイベックスの写真を撮りに一人で200mくらい先に行ってしまった。


僕もフランシスコに加わった。
結構近くまで行けた。人を恐れない。あまり人なんて見たことないんだろうか。



どれだけいたか分からないけど、引き返すことに。来た道をたどる。
写真を撮り忘れたけど、この周辺は国立公園であることを示す看板がどこかにポツリとあった。
狩猟や植物の採集を行わない限り、立ち入るのは合法らしい。


戻る際、二人で一瞬戸惑った。
こんなとこどうやって来たんだ。僕達は写真中央上部の谷間から降りてきたはずなんだけれど。

来る以上に帰るのは大変だ。
足滑らしたら200mくらい滑落して死んであの鷲に食われるんだぜ、なんて言いながら倍以上の時間をかけて迂回して帰った。

そして帰りは霧も晴れて見渡しがきくので見逃した817番ルートを探しつつ帰る。

そして。



…あった。
なんだこれは。
道なんてないじゃないか。(写真にマウスオーバーでルートサインの位置がみられます)

あの天気でこれを見つけるのは厳しい。(
click)



フランシスコが、ちょうど登って来た山小屋のスタッフに「こりゃないぜ」、みたいなことを言っていた。
右奥に817番ルートを示す看板が立っている。が、明らかにそれは分岐点を過ぎた後に設置してある。僕たちはこの看板を真っ直ぐ行けという意味だと解釈してしまった。

さらにそのスタッフによると、810番ルートは既に数年前に閉鎖されて、サインもすべて取り除かれたのだそう。
さすがにあの崩れたところを通るわけにはいかない。
きっとこの817番ルートも同じ運命なんだろう。来年戻って来たらもうサインは無くなっているかもしれない。

結局僕たちは最後までパヴィオネ山に登ることはできなかった。でも綺麗な景色を見れたし、アイベックスの群れにも会えたからよしとしよう。トレッキングの楽しみも分かった気がしたし。



時間も時間だったので、下りは二人ともほぼ無言でピッチを上げて歩き続けた。
僕はそのせいで少し右ひざを痛めた。



ラズベリーが自生している。

午後5時ごろ、昨日と同じルートを下って無事に下山。
フランシスコのお父さんがパニーニをもって迎えに来てくれていた。天使に見えた。

実家に帰って夕飯を食べた後、この旅最後のイベントであるウォール・クライミングに出かけた。
フランシスコは、クラブ・アルピノ・イタリアーノという、いわゆる山岳団体に属していて週に2回ほどウォールクライミングのトレーニングをしている。
今日はその年度末のパーティがあって一般の人にもクライミングの機会が与えられてた。
残念ながら僕は疲れすぎていたし、痛めた膝が軽く熱をもっていたので挑戦を辞退した。
フランシスコもクライミングシューズを持ってきていなかったから、最初から今日やる気はなかったみたいだ。



超人がいっぱいいました。

午後10時頃、実家に戻ってベッドに倒れ込んだ。
運悪く本日8月6日ははイタリアの一般的な会社の夏休み前最後の日だったらしく、翌朝は夏休みに出かける家族連れで道路の混雑が予想されていたので、ご両親のはからいで早めに駅へ発つことになった。

フランシスコのお母さんにはいつも本当に細かい心遣いをいただいた。出発前夜には翌日の朝ごはん用にパニーニまで持たせてくれた。
お父さんには毎回毎回移動の度に車を出していただいた。
心から感謝したいです。





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